コンサルティングミッションの秋元です。
明日3日の参議院厚生労働委員会に安倍首相が出席し、与党側は「10日にも派遣法改正案を成立させる考え」との報道がされています。
現時点では施行日を9月30日とする正式な提案もない中、参院で成立を図り、衆院で施行日に修正をかけ、パブリックコメントを募集する一方、労政審で省令等の詰めが行われ、建議が出され、労働局による全国説明会が実施され、9月30日の施行日を迎える…普通に考えると、とっくにタイムオーバーしているにもかかわらず、9月中の施行にこだわる理由とされる「労働契約申込みみなし制度(みなし制度)」の運用について、先週から今週にかけての参院の委員会審議で明らかになりました。
結論を先に申し上げると、9月30日に予定通り改正派遣法が施行された場合、みなし制度の4つの違法行為の一つとされる「期間制限に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること」については、少なくとも3年間は発生しないことになります。
例えば、5年前から政令26業務で就業しており11月末まで契約のある派遣労働者が、「自分は自由化業務に該当し、3年を超えて期間制限違反になっているから、みなし雇用の対象になるでしょう」と申し立てた場合、新法における期間制限違反は「事業所単位、個人単位」での3年制限しか存在しないため適用されない、という論法になります。(改正法施行により現行の26業務、自由化業務の区分は消滅するため適用されない)
このマジックのような話を噂で耳にしたのが、7月初旬。8月10日、東京労働局主催の、みなし制度の説明会の資料には、偽装請負に4画面、レアな事例に5画面を割きながら、“期間制限違反”に関する説明画面が1画面もありませんでした。敢えて説明を避けたということは…やはりマジックが本当だと感じたものでした。先週27日の委員会質疑では、野党側委員の怒りが爆発して途中流会したものの、昨日の委員会では野党側に攻め手がなく諦めムードが漂った印象を受けました。
明日、安倍首相に怒りが向かうことが予想されるものの、もはやこの件は決着済み。
みなし制度は、「労働契約申込み“実なし”制度」にて幕引きとなる模様です。
(コンサルティングミッション 秋元次郎)